マインドフルネス瞑想ではお天気のように日々変わる自分の内側に触れていきます。
その時に自分の嫌な面と向き合うことももちろんあります。
特に気分が落ち込んだ後の瞑想では、下記のような症状に陥りやすいので最も配慮が必要です。
・なかなか集中できない自分にイライラ
・自分を未熟だと捉え、自身を責めてしまう
・自分のネガティブ思考サイクルに落胆
今日は、そんな時のために、自分のネガティブな感情への対処方法についてお話ししていきます。
目次
- 感情のラベリング
- 認知的再評価
- 判断しない姿勢
- マインドフルネス
- ◆ MBSR 8週間 マインドフルネス・ストレス低減法 ◆
1. 感情のラベリング
今の自分自身が感じていることを言語化して表現することです。
アメリカのさまざまな大学では、このラベリングに関わる実験が行われており、その効果は科学的にも実証されています。
効果としては、神経活動の変化と生理的変化、自律神経系の活動(心拍数や心拍出量など)の低下や不安の低減も挙げられます。
そして、面白いのは、 “ストレスに強い人はネガティブ感情をどのように処理しているのか” というある実験においてわかったのは、”ストレスに強い人は、自分のネガティブな感情を区別するのが得意だった”、ということ。
つまり、ストレスに弱い人は、「悲しみ」「不安」「恐れ」といった感情を明確に区別せず、「なんだかイヤだなぁ」と言ったように大雑把に捉えがちなんだそうです。
確かに、今自分が悲しいのか不安なのかすらもわからなければ、湧き起こるネガティブな感情に対処するのは難しくなりますね。
この結果は、ネガティブ感情を明確にすることの大切さを示し、実験チームは自分の感情を単に「イヤだ」「不快」とだけに分けるのは避けた方がいいと言及しています。
いつもボンヤリした感情を引きずったままでは、いつまで経ってもストレスは消えてくれません。なので、「今自分が何を感じているのか?」に形を与えるのが、感情のラベリング手法です。
区別が苦手な方は、例えば自分でいくつかキーワードを作ってそれに湧き上がるネガティブ感情を充てはめていくのもありかもしれません。
ご参考用に代表的なよく使われるキーワードを明記しておきます:
1.怒り 2.イライラ 3.悲しみ 4.不安 5.恥 6.嫌悪 7.罪悪
2. 認知的再評価
人や物事に対する捉え方を再び評価し直す手法です。
コミュニケーション用語の一つで、1970年代にカリフォルニア大学在学中のリチャード・バンドラーとジョン・グインダーが行った分析から始まったものです。
感情的な衝動を軽減する手法として、今では「思考や行動」「感情のコントロール」「人間関係の構築や修復」など幅広く活用されています。
実は先に述べた、感情のラベリングよりもストレス低減に効果があると言われているのが、この認知的再評価です。
例えば、
テストまで後1週間だとします。
知らず知らずのうちに、「テストまで後1週間しかない!」と焦りというネガティブな感情が湧き上がってくるかもしれせん。
でも、考え方を変えて、「テストまで後1週間もある!」と再評価し直す(再考)こともできます。
感情や思考・状況について、このように別の解釈を試みることで、ネガティブ感情、抑うつや不安の低減が先行研究によって示されています。
実際の脳の変化としては、
再評価し直したことで、被験者が脳の前頭前皮質が活性化し大脳辺縁系の活動が低下することがFMRI(機能的磁気共鳴画像法)の実験で明らかになりました。
感情や思考をコントロールする脳領域が活動し、ネガティブな感情を引き起こす脳の活動領域が低下したことを示します。
3. 判断しない姿勢
そして、もう一つ大切なのが、マインドフルネス瞑想でも散々唱えている、「判断しない姿勢」です。
実際の生活の中で辛く感じた時でも、「良い」「悪い」とはっきり区別しないようにしていく意識も必要です。
よく考えてみると、はっきり区別できることはこの世の中にはそうそうないのではないでしょうか?
例えば、ある一部分だけに焦点を充てると「うまくいっていない」ように見えることでも、物事には全て流れがあり、その後の展開次第でその結果も「良い」とか「悪い」といった判断も変わってくるのではないでしょうか?
何事も決めつけず、心配していることが現実に起こっていることなのかどうか、もし起こったとすればどうすれば良いのか、現実に目を向けながら「良い」「悪い」と判断しないようにすることは、思考や感情を持っている人間にはなかなか難しいテクニックなのが実際です。
4. マインドフルネス
ここで出てくるのがマインドフルネス療法です。
マインドフルネス瞑想では、「何の判断もせず、今ここに意識をただただ集中させる」ことが目的です。
ありのまま、事実を事実として捉えることができるよう脳の習慣化・トレーニングを行なっていきます。
そして、マインドフルネスは、継続的に実践する必要があります。
その理由は神経回路にあります。
脳には神経回路があり、その回路は同じ道を辿れば辿る程太くなることがわかってきています。
物事を捉えるのにある一定のネガティブ神経回路ばかり使っていると、その回路が太くなり簡単にネガティブな思考に陥ってしまうのです。
一方で、脳の神経細胞は新たなネットワークを築き、生まれ変わることもできます。
これを「脳の可塑性」と言います。
例えば運動学習、車の運転に慣れている方は何も考えなくても会話をしながらでも運転ができることは良い例です。また、勉強して英語が話せるようになるのもこの脳の可塑性の力によります。
マインドフルネスの実践を続け脳の訓練をしていくと、認知的再評価もできるようになることが期待されます。
今の内側の思考や感情の状態を理解することがマインドフルネスの意図するところでもありますから、ネガティブな思考に陥った途端に瞬時に気付き、その思考をポジティブに変える脳へ可塑化を目指します。
太くなっていたネガティブ回路に思考が流れないよう、気付いた瞬間に阻止して、ポジティブ回路に流すよう脳を訓練していくのです。
「マインドフルネスかぁ。ただでさえ忙しいのに、効果がよくわからないものに、わざわざ時間を確保することはできないな。」
という思考を、
「マインドフルネスかぁ。効果はよくわからないけど実績・利益重視のアメリカで大流行してるんだから、何かしら意義があるんだな。騙されたと思って続けてみよう。」
へ、変えてみましょう。
マインドフルネスの継続に伸び悩んでいる方の例を取ってしまいましたが 笑、継続が中断してしまっている方は今一度マインドフルネスの継続をするよう心懸けてみてください。
そして、可塑性からも分かるように、そう簡単には脳のポジティブ神経回路は作れないことも把握しておいておくと良いでしょう。
5. ◆ MBSR 8週間 マインドフルネス・ストレス低減法 ◆
8週間かけて、一緒にポジティブ脳を作りましょう!
オンライン zoom
日程: 9月から開講
講師: 三枝英里 ブラウン大学MBSR認定講師
プログラム開発者はジョン・カバット・ジン氏、アメリカで起きているマインドフルネスの大ブームの火付け役者です。